『誰も知らない』

現実の事件はかなり悲惨だったようです。
ですが、この映画は始まる前のテロップでも書かれていますが、事件を基にはしているけど、心情などはまったくのフィクション、是枝監督がその事件を借りて作ったお話。
ともかく感心したのが、母親役のYOUを始めとして、出てくる人みんなが自然体であったことで、幼い弟や妹はまるで演技などしてないくらい、その家族になじんでいた。徐々に思春期を迎えつつある明や京子の静かな心の葛藤とか。そんな中で子供みんなが本当に母親を愛していて、母親もまた子供を愛していて。母親が自分を一番愛していたばっかりに。
観終ってつらつら考えるに、これは「誰も知らない」子供たちの話ではなく、「誰も知ろうとしなかった」子供たちの話なのだなぁ、と。
決して無関心な人ばかりではない。母親が帰ってこないで子供だけで住んでいることを、たぶんみんな知っている。でも、自分と他人の距離感が計れなくなっていて、ごく自然に無関心を装っている。
その他人と自分の距離感についてあとからじわじわ効いてきた。
生まれてきたことも死んだことも、誰も知ろうとしなかった小さな命。
正直なところ、これだけ騒がれていなかったらもっと素直に観れたんだろうなぁ、と思ったり。

韓英恵って、どこかで観たことあるなーと思ってたら、『ピストルオペラ』かぁ! あの美しい裸体をさらしていた少女!