『十八代目中村勘三郎襲名披露 三月大歌舞伎』

近江源氏先陣館 盛綱陣屋」
舞台から一番遠い幕見席からでは、表情まではほとんど見えないのだけれど、首実検の場面は舞台も客席もシーンと静まり返り、またピーンと張り詰めた空気に息を呑んだ。「誉めてやれ、誉めてやれ」というところなんかは、とても「らしく」て良かったと思う。
「保名」
今まで家族以外に言ったことはありませんが、実は昔から、えっと、その、仁左衛門が好きなんです。高校生くらいのころからね。当時は孝夫ですけど。歌舞伎役者だと聞いて驚いたので、テレビで見て「素敵」とか思ってたわけですが。
それ以来、一度でいいから舞台で観てみたいと思っていたので、夢がかないました! 号泣!
もう、目を皿のようにして観ました。ちかくでみたらしんでしまうかも。幸せいっぱいでした。
「鰯賣戀曳網」
実は、今回の幕見を思い立ったのは、ネットでこれが三島由紀夫の脚本だと知ったからでした。
三島はどんなものを書いたのだろう? とあれこれ想像して行ったのですが、いや、もう、笑った笑った。テンポがよくて捻りが効いていて。ふと、三島由紀夫から野田秀樹への流れが見えた気がした。やっぱり、日本の芝居の基本は歌舞伎にあるのだなぁ。
しばらく「鰯かうえ〜い」という声が頭から抜けなくなった。