『ケルベロス第五の首』ジーン・ウルフ

人間に似た異生物が住む惑星を舞台に、「名士の館に生まれた少年の回想」「人類学者が採集した惑星の民話」「尋問を受け続ける囚人の記録」の3つの中編が複雑に交錯する、謎と真実のタペストリ…。ゴシックミステリSF。

吐き気をもよおすほど面白かった。
「自分」という不確かな存在と、「歴史」という曖昧な認識。読み進めるにつれて、自己の喪失感にじわじわと蝕まれていく。こういう書き手に振り回される本なんて大好きだ。
こりゃ、図書館じゃなくて自分で買わなきゃだめだわ。とりあえず、殊能将之の『鏡の中は日曜日』をもう一度読もうかな。