『アジアの岸辺』

最高に知的で、最高に意地悪な作家、トマス・M・ディッシュ。洗練された奇想と黒い笑いに満ちあふれた短篇群を初めて集成! ニュー・ウェーヴSFを代表する名作「リスの檻」から幻の最高傑作「アジアの岸辺」まで──特異な知的洞察力で常に人間の暗部をえぐりだす稀代のストーリーテラー:ディッシュ、日本オリジナル編集でおくる初のベストコレクション! 本邦初訳8篇を含む全13篇。

短編というのは難しいものだと常々思っておりますが。
短編の魅力というのはやっぱり短いことにつきるわけで、短いからこそ断片を提示してそこから読者に何かを読み解かせるという手法が好きなのですよ、私の場合。そういう意味では、ディッシュの短編は私にとってはいささか直截すぎるような気がした。
鋭く鋭く尖ったものを叩きつけてくるような感じなので、ひょっとしたら若い人向きなのかも。個人的には「リンダとダニエルとスパイク」が面白かった。